タイトル | : ヴェネツィア方言 |
記事No | : 323 |
投稿日 | : 2004/01/23(Fri) 13:24 |
投稿者 | : カーザヴェーチャ |
BBS1の、Agitata da due ventiというアリアの自筆譜についての、あんにーなさんのお書き込みNo.2087中に、
「※ヴィヴァルディ自筆譜では Combatutto qsto core (6行目) E incominci a desperar(最終行) になっています。」
とありますが、これって、すごく面白かったです。 当たり前かもしれませんが、ヴィヴァルディはいつも頭の中はヴェネツィア方言だったんだなあって分かるからです。 qsto(この)となっているのは、questo のueが抜けたと言うよりも、ついヴェネツィア方言のstoと書いてしまい、 「おっと」とqを付け足したのかもしれませんし、disperarのiがeとなってdesperarとなっているのは書き間違いではなく、 立派にヴェネツィア方言だからです。
私は代々江戸、東京なので江戸弁を思い出しますが、ヴィヴァルディ・ファンの皆さんそれぞれ、 ヴィヴァルディに親しみを持てば持つほど、ご自分のアイデンティティに一番近く、 一番言いたいことが表現できて一番暖かい、それぞれの出身地の言葉を話すヴィヴァルディであるかもしれませんね。
P.S. それと、あんにーなさんのお訳しになった歌詞で、ちょっと気になった部分がありますので、 誠におこがましいのですが、こちらのほうで触れさせていただきます。 それは後半部分で、 Dal dovere, e dall'amore 務めによって、愛によって Combatutto questo core 挑まれたこの心は Non resiste, e par che ceda もう耐えられず、震えを感じ E cominci a disperar そして絶望し始める と訳されていますが、 これを、普通の文体に直すと、 Questo cuore, combattuto dal dovere e dall'amore, non resiste e pare che ceda e cominci a disperare. となりますので、 Dal dovere, e dall'amore 己が務めと愛しい想いに Combatutto questo core 責めさいなまれるこの心は Non resiste, e par che ceda 耐えきれず、もはやくじけ E cominci a disperar 絶望の淵に至りぬ となると思います。
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