| タイトル | ： 『ポントゥス女王アルスィルダ』のあらすじ |
| 記事No | ： 1574 |
| 投稿日 | ： 2007/04/10(Tue) 00:03 |
| 投稿者 | ： カーザヴェーチャ |
では、あらすじをお読みください。
私はなるべく原音表記をこころがけていますが、これは趣味みたいなものなので、
どうぞ、お気になさらずに慣用音表記でどうぞ。もっとも、オペラでは、国名も登場人物と同様に、
すべてイタリア語読みになりますが・・・。
【登場人物】（ ）内は慣用音表記
アルスィルダ（アルシルダ）・・・ポントゥス王国の王女（オペラの題名では女王）、タメーゼの許婚。
タメーゼ・・・死んだと思われたキリキア王国の皇太子、のちに王。リゼアの双子の兄。アルスィルダの許婚。
リゼア・・・タメーゼの双子の妹。女王だった亡母の遺言で、死んだと思われた兄に扮して王位を継ぐ。バルザーネの許婚。
ミリンダ・・・某国王女。リゼアの腹心の友。
バルザーネ・・・リュディア王。リゼアの許婚。アルスィルダに恋をする。
チザルド・・・タメーゼとリゼアの叔父。
ニカンドゥロ（ニカンドロ）・・・ビチュニア王国の王子。タメーゼの腹心の友。
【劇の前提】
キリキア王国（現在のトルコ南部）の老女王アンティパトゥラは、夫亡き後、彼女の双子の息子タメーゼと娘リゼアが成人になるまで、
彼らの叔父に当たるチザルドと共に王国を統治していた。タメーゼは、妹リゼアの秘密の恋人である、
リュディア王国（現在のトルコ南西部）の若き王バルザーネを伴って、反乱が起きた国境地帯へと向かう。
ポントゥス王の客人として滞在している間に、二人とも王女アルスィルダに恋をして友情にひびが入ってしまう。
アルスィルダは結婚を約束するタメーゼを選ぶが、そのことを深く恨んだバルザーネは復讐を誓う。
帰国の途次にあったタメーゼを乗せた船は難破してしまう。キリキア王国は男子相続を厳格に行っていたので、
息子の難破を知った老女王アンティパトゥラは、双子の娘リゼアが死んだことにして、以後は兄タメーゼに扮して生きるよう強いる。
やがて老女王も死に、兄タメーゼに扮したリゼアが王位を継承した。一方、タメーゼが助かって帰国したという報を耳にしたアルスィルダは、
それがタメーゼではなく妹のリゼアとは知らずに、結婚の約束を信じて、キリキア王国に旅立つ。
【第一幕】
毎年恒例の王室への忠誠を宣誓する日に、兄タメーゼに扮したリゼアは、歓声をあげる群衆の前でポントゥスの王女との婚約を発表する。
叔父のチザルドは、王室の嫁と王位を奪おうと、見知らぬ敵がひとり町に入り込んだので用心するように人々に呼びかける。
私邸では、ポントゥスの王女アルスィルダが、一刻も早く婚礼の約束を果たして欲しいとい許婚タメーゼに詰め寄るが、
タメーゼ（リゼア）の煮え切らない答えに深く傷つく。ビチュニア王（現在のトルコ北西部、黒海沿岸）のニカンドゥロは、
友人タメーゼ（リゼア）に決して裏切らずに敵と戦うと誓う。やっと、一人になったリゼアは、最初から計画を知っている腹心の友ミリンダに、
絶望的な想いを吐露する。アルスィルダへの共感と正体がばれることへの恐れに加えて、兄タメーゼを失ったことと
まだ愛している許婚の裏切りにリゼアの心は千々に乱れる。ミリンダはミリンダで恋などきっぱり断念することを誓う。
敵意を抱いて町に侵入した者はバルザーネに他ならなかった。彼もまたタメーゼがリゼアとは知らずに、タメーゼが無事帰国したと思い、
復讐を果たしにやって来たのだった。一方、難破船を逃れて命が助かったタメーゼは、妹が自分の留守中に王位を簒奪したのだと
頭から思い込んでしまい、命が助かったことを知らせず、王室の庭師に身をやつして妹の様子を窺っていたのだった。タメーゼはバルザーネが
アルスィルダを待ち伏せているのを知って、タメーゼは現場に急行してアルスィルダを救うが、正体は明かさずにおく。バルザーネは取り押さえられる。
アルスィルダは見知らぬ恩人に強く惹かれてしまう。一方、リゼアは、火山の神殿での神事の折に、叔父からバルザーネ捕縛の知らせを聞く。
【第二幕】
タメーゼに扮したリゼアは地下牢のバルザーネを訪ねて、妹である許婚を裏切ったことを激しくなじる。
バルザーネは彼の心中の恋敵にして元親友の思いがけない反発に面食らってしまう。
アルスィルダはタメーゼ（実はリゼア）を自分を救ってくれた恩人（本物のタメーゼ）に引き合わせるが、
恩人は身元を尋ねてもはぐらかすばかり。業を煮やしたリゼアは、これは死んだと言われている自分の兄に会っているのだ、
と思うことにした。アルスィルダもまた、この見知らぬ男にポントゥス以来自分を恋い慕っている男（タメーゼ）の姿を見た、
と突然信じてしまう。アルスィルダはタメーゼ（実はリゼア）に一刻も早く結婚してくれるように迫るが、またもやすげなくされて、
妙に冷たい許婚と見知らぬ庭師の間で心が揺れ動く。
夫婦間の貞節の守り神である女神ディアナを讃えて、大規模な狩が行われる。リゼアはアルスィルダに対して、
ますます矛盾に満ちて身動きが取れなくなっていく。リゼアはタメーゼに扮して、再び地下牢のバルザーネを訪ねて、
実は、彼の許婚のリゼアは生きているが、まだ身を潜めていなければならないので、非常に辛い思いをしていると伝える。
タメーゼ（実はリゼア）はバルザーネに鍵を渡して、ここを抜け出してリゼアのもとに行くように言う。
罪悪感でいっぱいになったバルザーネは、裏切ってしまった相手に許しを請うことを固く心に誓う。
一方、タメーゼ（実はリゼア）は、アルスィルダに向かって、「あなたの婿殿は私の妹だ」と事実をぶつける。
アルスィルダは、あまりのことに茫然自失してしまう。そのやり取りを陰で耳にした叔父のチザルドは、
姪にまんまと騙されたと知り、激怒する。
【第三幕】
宮殿の地下通路ではリゼアが、バルザーネがやって来るのを待ちわびている。バルザーネはリゼアに心から詫びて、
リゼアとの結婚の許しをタメーゼに請うことを約束する。喜びも束の間、リゼアは入り組んだ事態をどう打破すべきか途方にくれる。
ミリンダは、なすすべもない庭師（実はタメーゼ）に、乙女心をくすぐられている自分を素直に認める。
ニカンドゥロはキリキア王国の救い主に、自分も援助するので王位を簒奪するよう、説得に努める。
そろそろ痺れを切らし始めていたタメーゼは、チザルドに辛抱するように諭される。苦境に追い込まれたリゼアは、
叔父チザルドに、国のために不本意ながら兄と役目を交代しなければならなかったと白状すると、
兄はまだ存命であることを教えられる。叔父は、是が非でも万事をめでたく収めようと決意する。
程なくしてバルザーネが現れ、タメーゼ（実はリゼア）にリゼアとの結婚の許しを請い、キリキア王国と和睦を結ぶ。
リゼアはアルスィルダに宙に浮いたままの婚礼について話す。チザルドはついに、簡潔に如才なく、入り組んだ事情を皆の前で説明する。
リゼアはキリキア王国の王位をタメーゼとアルスィルダに譲ると、自分はバルザーネと共にリュディア王国を統治すると宣言する。
キリキア王国の人々と鎧を身に着けた部隊は、突然降って湧いた二重の婚礼を歓呼の声を上げて祝福する。
こうして思いがけなくも再会した二組のカップルは、お互いの愛を再認するのだった。
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